【特定技能】定期届出が「年1回」に変更!4月~5月の報告実務と注意点まとめ

2026.03.15

これまで四半期ごと(3か月に1回)に行っていた「定期届出」が、制度改正により「年1回」に集約されます。

事務負担が軽減される一方で、「1年分をまとめて正確に報告する」必要があるため、計算ミスや添付書類の不備にはこれまで以上の注意が必要です。

また、今回の変更に合わせて「必要書類の提出省略(簡素化)」のルールも設けられました。

本記事では、2026年1月26に公表された出入国在留管理庁の「特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領」に基づき、新しい定期届出(年次報告)のルール、計算方法、注意点を徹底解説します。

特定技能外国人を雇用している企業の皆様、および支援を行っている登録支援機関の皆様はぜひ最後までお読みいただければと思います。

1 【特定技能】定期届出の変更概要とスケジュール

これまでの四半期ごとの届出が廃止され、以下のスケジュールで年1回の報告となります。

(1) 対象となる期間

前年の4月1日から、当年の3月31日まで
(例:2025年4月~2026年3月の実績など)

(2) 提出が必要な時期

毎年 4月1日 ~ 5月31日 の間
※この2か月間に、前年度1年分の実績をまとめて報告します。

(3) 提出方法

■電子届出システム(推奨)
■郵送または窓口持参

\ 実務のポイント /

電子届出システムを利用することは、後述する「添付書類の省略」を受けるための条件の一つなっています。まだIDを持っていない企業は、お早めの利用者登録をおすすめします。

 2 【特定技能】定期届出は誰が行うのか?

基本的な届出義務者は「特定技能所属機関(受入れ企業)」です。

ただし、支援業務を登録支援機関に委託しているかどうかで対応が異なりますので注意が必要です。

(1) 自社支援の場合

受入れ企業がすべてのデータを作成し、提出します。

(2) 登録支援機関に全部委託している場合

登録支援機関が支援対象である特定技能外国人の氏名、生年月日、国籍・地域及び在留カード番号を確認または記載し、「支援実施状況」などのデータを作成・署名し、それを受入れ企業に渡します。

受入れ企業は、登録支援機関から受領したデータをとりまとめて提出します。

\ 注意 /

登録支援機関が直接入管に提出するのではなく、あくまで「受入れ企業を経由して(受入れ企業のアカウント等で)」提出する形になります。

3 【特定技能】定期届出で報告すべき内容と計算のルール

ルール

年1回の報告では、以下の項目について1年間の平均値や実績を記載します。

計算ミスが起きやすいポイントですので注意してください。

(1) 報告対象の人数

・対象期間(4/1~3/31)に1日でも在籍していた特定技能外国人は全員カウントします。

※受入れ開始日は、特定技能雇用契約の開始日にかかわらず、原則として「特定技能」の在留資格で上陸許可を受けた日又は在留資格変更許可を受けた日となります。

・年度の途中で退職した人や、新規入社した人も含みます。

(2)【重要】特定技能1号から2号へ変更した場合

「特定技能2号」としてカウントし、1号の人数には含めません。

労働条件の集計も、2号に変更した月(または翌月)以降のデータのみを使って平均を出します。

(3) 労働条件(賃金・労働時間)

1年間の実績に基づき、以下の項目の「月平均値」を算出します。

※詳しい記載例については、出入国在留管理庁ホームページの特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領を公表 「【労働条件等に係る個別項目の記載要領】」7頁~をご確認ください。

① 実労働日数・時間数

特定技能外国人の月平均の実労働時間日数を記載します。 

有給休暇や完全休業日は含みませんが、短時間休業で1時間でも働いた日、休日労働を行った日は含めます。

※小数点第1位を四捨五入して整数値で記載してください。

② 所定内実労働時間数(実労働時間数から超過実労働時間数を差し引く)

特定技能外国人の月平均の所定内実働時間数を記載します。

休業日を含めず平均値を算出しましょう。
なお、短時間休業で就労を行った時間数は所定内実労働時間数に含まれます。


※小数点第1位を四捨五入して整数値で記載してください。


③ 超過実労働時間数(早出、残業、休日労働等)

特定技能外国人の月平均の超過実労働時間数を記載します。

※小数点第1位を四捨五入して整数値で記載してください。

④ きまって支給する現金給与額(超過労働給与額を含む)

 基本給に加え、超過労働手当(時間外手当、深夜手当、休日手当、宿日直手当等)、通勤手当、皆勤手当、家族手当なども含めた総額の平均を記載します。

※小数点第1位を四捨五入して整数値で記載してください。

⑤ 上記1の期間中の賞与・期末手当等特別給与額

 対象期間中に支払われた賞与等の合計額を、対象人数で割った平均額を記載します。

※小数点第1位を四捨五入して整数値で記載してください。

⑥ 控除額

 ➊食費、➋居住費(水道・光熱費含む)、➌税・社会保険料、➍その他家賃、食費のそれぞれについて記載します。

※小数点第1位を四捨五入して整数値で記載してください。

⑤ 計算時の注意点

・平均値は、小数点第1位を四捨五入して整数値で記載します。
・中途入社や退職で在籍期間が1か月未満の月は、計算から除外します。

⑥ 昇給率(2年以上在籍している場合のみ)

同一の企業で、同一の在留資格(1号または2号)2年以上継続して在籍している外国人がいる場合のみ記載が必要です。

 計算式に基づいて算出された昇給率を、小数点第2位を四捨五入して、小数点第1位まで(例:2.7%)記載します。

もし、昇給がない場合は「0%」と記載します(「100%」と書くと給料が2倍になった意味になるため注意!)。

(4) 支援の実施状況(1号特定技能のみ)

・登録支援機関に委託している場合は、その機関名や担当者情報を記載します。

・複数の登録支援機関を使っている場合や、途中で変更した場合は、それぞれの期間ごとの状況をとりまとめて報告します。

4 【特定技能】定期届出の 添付書類と「提出省略」のメリット

メリット・デメリット

今回の変更で、定期届出に合わせて「税金や社会保険料の納付状況を確認できる書類」を提出することになりました。

しかし、「優良な企業」については、これらの書類提出を省略できる仕組みが導入されています。

(1) 通常必要な添付書類(※届出内容によって追加書類を求められることがあります。)

1.  特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-6号別紙1)
2. 別紙の署名欄(参考様式第3-6号別紙2)
3.  報酬支払証明書: 口座振込以外で給与を払っている場合のみ
4.  特定技能所属機関に関する書類
 ・誓約書(参考様式第5-16号) ※一定の基準を満たす場合のみ
 ・誓約書(参考様式第5-17号) ※一定の基準を満たさない場合のみ
 ・特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11-1号)
 ・中長期在留者の受入れ実績等に関する資料 ※自社支援の場合のみ
 ・登記事項証明書 ※法人のみ
 ・業務執行に関与する役員又は個人事業主の住民票の写し
 ・特定技能所属機関の役員に関する誓約書(参考様式第1-23号) ※法人のみ
 ・労働保険料の納付に係る資料
 ・社会保険料の納付に係る資料
 ・納税証明書(その3)
 ・直近 1 年度分の法人住民税又は個人住民税の納付に係る資料
 ・書類省略に当たっての誓約書(参考様式第1-29号) ※一定の基準を満たす場合のみ

(2) 書類提出を「省略」できる条件(一定の基準)

以下の1~3の条件をすべて満たす企業は、上記3・4などの公的書類の添付を省略し、誓約書(参考様式第5-16号)」及び「書類省略にあたっての誓約書」(参考様式第1-29)で済ませることができることがあります(※地方出入在留管理局から提出を求められた場合は提出する必要があります)。

1.  過去3年間に指導勧告や改善命令を受けていないこと
2.  在留諸申請をオンライン申請、定期届出を「電子届出」で行っていること
3.  下記①~⑥のいずれかに該当する「適正な受入れが見込まれる機関」であること    
 ①日本の証券取引所に上場している企業
 ②保険業を営む相互会社
 ③高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業
  (イノベーション創出企業)
 ④一定の条件(https://www.moj.go.jp/isa/content/001378932.pdf)を満たす企業等
 ⑤前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収 
  税額が1,000万円万円以上ある団体・個人 
 ⑥特定技能所属機関として3年間の継続受入れ実績があり、かつ過去3年間債務超過でない法人

\ ここが重要! /

中小企業であっても「3年間まじめに特定技能を受け入れており、赤字(債務超過)ではなく、電子申請を使っている」ならば、面倒な納税証明書等の毎年の提出が不要になる可能性があります。これは非常に大きなメリットです。

5 【特定技能】定期届出に関するよくある間違い・チェックリスト

チェックリスト

マニュアルに記載されている「よくある不備」をまとめました。

提出前に必ず確認しましょう。

[人数の重複]
1号から2号へ変更した人を、1号の人数にも計上してしまっている(2号のみに計上すべき)。

[時間外手当]
残業代について、割増分(0.25倍部分)しか記載していない又は所定労働時間内に深夜労働を含めている(1.25倍の全額を含める必要があります)。

[手当]
定められた様式の手当名(通勤手当等)を勝手に書き換えている(書き換えず、該当しない手当は「④きまって支給する現金給与額」の合計に含めます)。

[昇給率]
前々年度から昇給していないのに「100%」と書いている(正しくは「0%」)。

[署名]
登録支援機関に委託しているのに、登録支援機関の署名が入った別紙が添付されていない(電子届出の場合はスキャンデータを添付)。

6 サマリー

サマリー 

新しい定期届出制度は、回数が減る分、「1年に1回、決算のように正確な処理を行う」ことが求められます。

・時期:毎年4月1日~5月31日
・方法:原則オンライン(電子届出)
・準備:1年分の賃金台帳データの集計、委託先登録支援機関とのデータ連携

特に、「オンライン申請 + 3年の適正実績」があれば添付書類が大幅に減る点は見逃せません。

まだ紙で申請している企業様は、この機会にオンライン化(電子届出システムの利用者登録)を強くおすすめします。

4月に入ってから慌てないよう、3月中には賃金データの整理や、登録支援機関との連携確認を進めておきましょう。

※本記事は、出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領」の情報を基に作成しています。詳細なケースについては管轄の地方出入国在留管理局へお問い合わせください。

この記事を書いた「Linolaパートナーズとは」

弁護士
弁護士

片岡 邦弘

Linolaパートナーズ法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属)
外国人労務特化型弁護士
1978年東京生まれ、東京在住

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