【図解】技人国(ぎじんこく)とは?|外国人労務の”現場”に強いLinolaパートナーズ法律事務所

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2026.02.10

技人国(ぎじんこく)」という言葉を聞いたことはあるけれど、実際にはどのような意味を持つ在留資格なのか、よく分からない。

このように思われている方も少なくないかもしれません。

インターネットで外国人の在留資格(いわゆる「就労ビザ」)について調べていると、「技能実習」や「特定技能」と並んで「技人国(ぎじんこく)」という言葉が出てきます。

しかし、それぞれの制度の違いが分かりにくく、何ができて、何ができない資格なのかが見えにくいのが正直なところなのではないでしょうか?

\この記事を読むとわかること/

☑ 技人国とは、そもそも何の略なのかがわかる
☑ 技人国では、どんな仕事ができるのかがわかる
☑ 技能実習や特定技能との違いについて理解できる

この記事では、「技人国とは何か」という基本から、具体的な仕事内容、他の在留資格との違い、実務上の注意点までを、できるだけ分かりやすく整理して解説します。

また、注意していただきたいのは、chatGPTやgeminiなどのAIで調べてもこの分野については正確な情報になかなかたどり着くことができないという点です。

あまり大きな声ではいえませんが・・・
理由は明らかで、この分野の専門家が国内でごくごくわずかなことが要因のひとつです。

1 技人国とは?

在留資格「技術・人文知識・国際業務」

技人国とは、在留資格「技術・人文知識・国際業務(以下、「技人国」といいます)」の略称です。

これは、日本で働く外国人向けに設けられている代表的な就労系在留資格の一つで、在留カードにも正式名称である「技術・人文知識・国際業務」と記載されます。実務やインターネット上では、これを略して「技人国」「技・人・国」と呼ぶことが一般的です。

技人国の大きな特徴は、以下の通りです。

日本人と同じような一定以上の専門性を有する職種(非現業性)で働くことを前提とした在留資格です。

また、以下のいずれかを満たす必要があります。

【学歴要件】

  • 想定されている業務内容と学歴・実務経験との関連性が重視されること
  • 学歴要件があること
  • 当該技術もしくは知識に関連する科目を専攻し大学を卒業し又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
    ※なお、「同等以上の教育を受けたこと」については注意が必要です。日本の大学や専門学校に限らず海外の高等教育機関を卒業した場合など一定の要件を満たした場合も該当します。

実務要件(一定以上の実務経験)

  • 「技術・人文知識」分野において10年以上の実務経験が必要があること
  • 「国際業務」分野において3年以上の実務経験をあること
    これらを証明することで技人国の申請が可能となる場合があります。

【在留資格「技術・人文知識・国際業務」本邦において行うことができる活動】

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで及び企業内転勤の項から興行の項までの下欄に掲げる活動を除く。)
引用:「出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)(抄)別表第一の二」

【在留資格「技術・人文知識・国際業務」の活動基準】

申請人が次のいずれにも該当していること。ただし、申請人が、外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律(昭和六十一年法律第六十六号)第九十八条に規定する国際仲裁事件の手続等及び国際調停事件の手続についての代理に係る業務に従事しようとする場合は、この限りでない。
一 申請人が自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、次のいずれかに該当し、これに必要な技術又は知識を修得していること。ただし、申請人が情報処理に関する技術又は知識を要する業務に従事しようとする場合で、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格し又は法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有しているときは、この限りでない。
イ 当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
ロ 当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと。
ハ 十年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。
二 申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。
イ 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。
ロ 従事しようとする業務に関連する業務について三年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。
三 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
引用:出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号)(抄)

2 技人国の位置づけ(就労系在留資格全体像)

【就労系】在留資格種類・相関図

単に「外国人を雇えるビザ」というわけではなく、大学等で学んだ専門的な知識やスキルを活かして日本で働くための在留資格という位置づけです。

在留資格は大きく分けると「身分・地位系」「就労系」と2つに分けて考えることができ、技人国は就労系の在留資格に含まれます。

3 技人国とはどのような在留資格?!

専門知識・スキル

技人国は、日本の労働市場において専門性を持つ外国人材が活躍することを想定して設けられた在留資格です。

制度上、技人国は「人手不足を補うための資格」ではありません。そのため、誰でも取得できるわけではなく、次の点が重視されます。

・大学や専門学校で学んだ専攻分野
・実際に従事する業務内容
・それらの間にある合理的な関連性

(1) 「専攻 × 業務内容 × 専門性」の関係

「専攻 × 業務内容 × 専門性」の関係

この考え方があるため、技人国では原則として単純労働や現場作業は認められていません。後述しますが、ここが技能実習や特定技能との大きな違いになります。

(2) 技人国の在留期間について

在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」には、在留できる期間が定められており、 5年・3年・1年・3か月のいずれかが付与されます。

どの期間が許可されるかは、以下の点などを踏まえて、出入国在留管理庁が個別に判断します。

・雇用契約の安定性
・業務内容の適切さ
・これまでの在留状況 など

在留期間が満了しても、引き続き同じ条件で働く場合は、在留期間更新許可申請を行うことで、継続して日本で就労することが可能です。
ただし、更新は自動ではなく、仕事内容や雇用条件が引き続き適切かどうかが再度審査されます。

なお、 更新回数の上限を定めた規定は設けられていません
そのため、在留資格の要件を継続して満たしている限り、在留期間更新許可を受けることで、「在留資格及び新たな在留期間」として継続が可能とされています。
出入国管理及び難民認定法 第2条の2、第21条

4 技人国でできる仕事とは?(具体例)

技人国で認められる仕事は、大きく分けて次の3つの分野に整理されます。

技人国の3分野マップ

技人国の3分野マップ

(1) 技術分野(理系・工学系)

主に理系・工学系の知識を活かす仕事(いわゆるホワイトカラー職種)が対象です。

  • システムエンジニア、プログラマー
  • ITエンジニア
  • 機械・電気・建築分野の設計・開発業務 など

大学や専門学校で学んだ工学・情報系の知識と、実際の業務内容が結びついているかが重要になります。

(2) 人文知識分野(文系)

文系学部で学んだ知識を活かす一定水準以上の専門的知識を必要とする職種が該当します。

  • 営業、マーケティング
  • 経理、人事、総務、法務
  • 企画、コンサルティング業務 など

経済学・経営学・法律学などの人文科学系分野との関連性が判断のポイントです。

(3) 国際業務分野

語学力や海外文化への理解を活かす一定水準以上の専門的知識を必要とする仕事が対象です。

  • 通訳・翻訳、デザイナー
  • 海外取引、貿易関連業務
  • ホテルや観光業における海外対応部門 など

単に外国語が話せるだけでなく、業務として国際的な対応が求められるかが見られます。

5 技人国の在留資格ではできない仕事(注意点)

技人国では、次のような仕事は原則として認められていません

・工場のライン作業
・建設現場での作業
・飲食店でのホール業務や調理補助
・清掃、倉庫作業 など

これらは「単純労働」と判断されやすく、技能実習や特定技能の対象分野とされています。

たとえ雇用契約書上は「エンジニア」「事務職」となっていても、実際の業務内容が現場作業中心であれば問題となる可能性があります

技能実習や特定技能についての詳しい記事はこちらをご覧ください。
在留資格「特定技能」とは?技能実習との違い・トラブル回避方法について外国人労務特化型弁護士が解説

6 「なんちゃって技人国」とは?

なんちゃって技人国とは、正式な制度用語ではありません。
名目上は技人国で雇用しているものの、実際には5番であげたような単純労働を行わせているケースを指す俗称です。

このような状態が続くと、以下のようなリスクが生じます。

  • 在留資格の不許可・更新不許可
  • 在留資格の取消し
  • 企業側への指導・是正 など

本人だけでなく、受け入れ企業側にも責任が及ぶ点が大きな注意点です。
一部の担当者だけではなく企業全体で正しい知識と共通認識をもつことが大切です。

定期的な勉強会や専門家を招いて社内セミナーを行うなど効果的な施策を行うことをおすすめします。

7 技能実習・特定技能との違い

技人国・技能実習・特定技能の比較

在留資格主な目的・特徴
技人国専門知識を活かしたホワイトカラー就労
技能実習技能移転・国際協力が目的
特定技能人手不足分野での即戦力就労

それぞれは「どれが上・下」という関係ではなく、制度の目的そのものが異なると理解することが重要です。

なお、これまで技能移転・人材育成を目的として運用されてきた技能実習制度については見直しが行われ、新たに「育成就労制度」を創設する改正法が、2024年6月21日に成立しました。

この改正法は、2027年4月1日に施行されることが政令で定められています
今後は、育成就労制度を前提とした外国人材の受入れ・育成の仕組みへと段階的に移行していくことになります。

育成就労制度の制度趣旨や、技能実習・特定技能との違いについては、詳しく解説した記事をご覧ください。
育成就労制度をわかりやすく解説!|外国人労務の”現場”に強いLinolaパートナーズ法律事務所

8 企業側が注意すべきポイント

技人国の外国人を採用する企業は、次の点に注意する必要があります。

・業務内容が学歴・専攻と結びついているか
・雇用契約書と実際の業務内容が一致しているか
・日本人社員と同等以上の報酬水準になっているか

「とりあえず採用して、後で調整する」という考え方は、大きなリスクにつながる可能性がありますのでくれぐれもご注意ください。

9 サマリー

サマリー 
  • 技人国とは「技術・人文知識・国際業務」の略
  • 専門性を活かしたホワイトカラー向けの在留資格
  • 単純労働は原則不可
  • 企業側の運用ミスも大きなリスクになる

外国人労務に関する法律の専門家を探すのはかんたんではありません。
なぜなら、労働関連法令はもちろんのこと入管法までを熟知し実務に精通した弁護士が少ないからです。

今後、外国人労働者は増加が見込まれますので、顧問弁護士をお探しの方はお早めに対策されることをおすすめします。

※本記事は、2026年1月時点の法令・運用に基づいて執筆しています。

この記事を書いた「Linolaパートナーズとは」

弁護士
弁護士

片岡 邦弘

Linolaパートナーズ法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属)
外国人労務特化型弁護士
1978年東京生まれ、東京在住

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