監理団体とは?~役割や業務内容、注意点などを外国人労務を得意とする弁護士が解説!

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2022.12.13

監理団体とは?~役割や業務内容、注意点などを外国人労務を得意とする弁護士が解説!

 

この記事を読むとわかること

✅監理団体についてわかる

✅「一般監理団体」と「特定監理団体」の違いについてわかる

✅監理団体の役割や業務内容についてわかる

✅監理団体が気をつけるべきことについてわかる

 

昨今、外国人技能実習生を取りまくさまざまな問題が度々報道されていますので、「監理団体」という言葉を一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか?

 

外国人技能実習生の受け入れには欠かすことのできない「監理団体」とはどのような団体なのでしょうか?

 

本記事では、「監理団体」についてわかりやすく解説していきます。

 

 

 

1 監理団体とは?

 

監理団体とは、外国人技能実習機構から監理団体として活動するための許可を受けて実習監理を行う事業(=監理事業)を行う日本国内の非営利法人のことをいいます。

 

ここで「実習監理」とは以下の①及び②のことをいいます(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号)(以下「技能実習法」といいます)第2条第9項)。

 

 

① 企業と技能実習生の雇用関係の成立のあっせん(=職業紹介)

② 企業に対する団体型技能実習技能実習の実施に関する監理を行うこと

 

 

監理団体は、技能実習生の受け入れ先となる企業(実習実施者)から依頼を受け、技能実習生となる人材の募集や各種手続きを行って受入れを実現します。

 

加えて、受け入れ後には、受け入れ先企業(実習実施者)が技能実習計画に従って適正に実習を行っているかについて訪問指導・監査等を行うほか、技能実習生保護のために極めて重要な役割をになっています。

 

 

技能実習制度の目的は、法律により以下のように定められています。

【POINT!】
技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、もって人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)の移転による国際協力を推進することを目的とする。 〈技能実習法第1条〉技能実習の目的 

  (注意!) 外国人技能実習生は、人手不足解消の手段ではありません。また、人権侵害行為はあってはならないことであり、違反すると罰せられます。

 

 

なお、監理団体の受入れ機関は「団体監理型」と「企業単独型」の2種類に分かれており、厚生労働省発表のデータによれば、受入れ機関別の割合は、団体監理型98.6%(企業単独型1.4%)という結果が出ています。

 

 

【技能実習制度の受入れ機関別のタイプ 】 

団体監理型

 

企業単独型

 

引用:厚生労働省「外国人技能実習制度について」

 

 

 

2 「一般監理団体」と「特定監理団体」の違いについて

 

 

監理団体の許可区分は、「一般監理団体」及び「特定監理団体」の2種類があります。

 

出入国在留管理庁公表のデータによれば、令和4年8月8日現在で監理団体は日本全国に3,587団体あります。

 

(内訳)

■一般監理事業の許可 1,841団体

特定監理事業の許可    1,746団体 

 

では、「一般監理団体」と「特定監理団体」には、どのような違いがあるのでしょうか?

 

監理団体が監理許可を受けると特定監理団体になることができ、「優良認定」をうけることで一般監理団体になることができます。

 

一般監理団体は、技能実習3号を行うことが可能になることまた、技能実習生の受け入れ枠が倍になることといったメリットをもっています。

 

 

 

3 監理団体になるための要件とは?

 

 

監理団体を立ち上げるためには一定の要件を満たさなければなりません。

 

監理団体の許可に関する要件については、技能実習法第25条(許可の基準等)に定められています。

 

 

【監理団体の主な許可基準】

① 営利を目的としない法人であること

 ex.商工会議所・商工会、中小企業団体、職業訓練法人、農業協同組合、漁業協同組合、 公益社    団法人、公益財団法人

② 監理団体の業務の実施の基準に従って事業を適正に行うに足りる能力を有すること

  1. 実習実施者に対する定期監査(3ヶ月に1回以上、以下の方法による)

           ■技能実習の実施状況の実地確認

   ■技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること

   ■在籍技能実習生の4分の1以上との面談

   ■実習実施者の事業所における設備の確認及び帳簿書類等の閲覧

   ■技能実習生の宿泊施設等の生活環境の確認

  1. 第1号の技能実習生に対する入国後講習の実施(適切な者に対しては委託可能であることを明確化)
  2. 技能実習計画の作成指導

   ■指導にあたり、技能実習を実施する事業所及び技能実習生の宿泊施設を確認

   ■適切かつ効果的に技能実習生に技能等を修得させる観点からの指導は、技能等に一定の経験を有する者が担当

  1. 技能実習生からの相談対応(技能実習生からの相談に適切に応じ、助言・指導その他の必要な措置を実施)

③ 監理事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること

④ 個人情報の適正な管理のため必要な措置を講じていること

⑤ 外部役員又は外部監査の措置を実施していること

⑥ 基準を満たす外国の送出機関と、技能実習生の取次に係る契約を締結していること

⑦ 優良要件への適合(第3号技能実習の実習監理を行う場合)

⑧ ①〜⑦のほか、監理事業を適正に遂行する能力を保持していること

※①②に関しては、事業所管大臣が告示で要件を定めた場合には、その事業に該当する職種の監理団体は、当該要件を満たさなければなりません。

 

 

ここでは、概括的にまとめたものになりますが、各項目については細かな要件がありますので申請の際には、外国人技能実習機構のホームページなどでしっかりと確認しましょう。

 

 

また、実務上では、監理団体や実習実施者による法令違反が問題となっていることが少なくありません。許可を得て終わりではなく、許可後においても監理団体及び実習実施者が継続的かつ適正な運営が行えるような体制作りが大切です。

 

 

 

4 監理団体の役割と業務内容について

 

監理団体の役割は、海外と日本の人材育成の橋渡しともいえ、国際的にも貢献度が高い一方で、大きな責任も伴います。

 

海外から来日する外国人の多くは、期待と不安を抱えており、監理団体は入国前〜帰国までのさまざまな手続きを行わなくてはなりません。

 

国ごとの文化や風習の違いを理解したうえで、実習実施者と技能実習生のサポートを一貫して行うという大きな役割があります。

 

ここでは、数ある監理団体の業務の中から主な業務内容についてピックアップしてご説明いたします(参照:厚生労働省「運用要領」)。

 

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【技能実習】名義貸しの禁止について監理団体の許可取消し事例を基に弁護士が解説

 

 

 

(1) 監査業務

技能実習生を受け入れる実習実施者が、「技能実習計画」の認定申請の際に提出している計画書通りに実習が行われているかどうか、実習の進め方やその他について問題がないかを確認する業務のことをいいます。

 

 

【監査の内容】(技能実習法第39条第3項・第52条第1号イないしホ)

■技能実習の実施状況の実地確認

■技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること

■在籍技能実習生の4分の1以上(2人以上4人以下の場合は2人以上)との面談

■実習実施者の事業所における設備の確認及び帳簿書類等の閲覧

■技能実習生の宿泊施設等の生活環境の確認

 

監査業務は、3ヶ月に1回行う「定期監査」法令違反などが疑われる場合に行う「臨時監査」があります。

 

例えば、労働時間超過や残業代未払いなど労働法関連に関する問題や人権侵害行為、メンタルヘルス、宿泊環境に関する問題が起きることは珍しくありません。これらを未然に防ぐための体制構築はもちろんのこと、技能実習生が実習に専念できる環境整備を行うことも大切な業務の1つです。

 

定期監査を行った場合、監査を行った日から2か月以内に、監査報告書(省令様式第22号)により、その結果を対象の実習実施者の住所地を管轄する機構の地方事務所・支所の指導課に報告しなければなりません。

 

特に、技能実習生に対する暴行、脅迫その他人権を侵害する行為が疑われる情報を得た場合、迅速かつ確実に臨時監査を実施しなければなりません。 また、臨時監査後、電話等により、その概要を直ちに実習実施者の住所地を管轄する機構の地方事務所・支所の指導課に連絡するとともに、当該監査の実施結果については、監査報告書によりとりまとめの上、臨時監査実施後、遅くとも2週間以内に同課に報告することが求められます。

 

 

(2) 訪問指導

訪問指導は、第1号技能実習の場合において、監査とは別に監理責任者の指揮のもと1ヶ月に少なくとも1回以上行わなければなりません。その際、監理団体の役職員が実習実施場所に赴き技能実習の実施状況や認定された技能実習計画に基づいて技能実習が適正に実施されているかどうかを確認します。

 

また、訪問指導後は、指導内容の記録「訪問指導記録書」を作成し、事業所に備え付けるとともに、その写し「事業報告書」に添付し年に1度「外国人技能実習機構」へ提出しなければなりません。

 

 

(3) 外国の送り出し機関との契約、求人・求職の取次など

技能実習生を送り出す現地の送出機関の選定(一定の基準を満たした機関)にはじまり、送出し機関とのさまざまな契約の取り交わしや現地での求人活動、面接同行などの求人に関するサポートも監理団体の重要な業務の1つです。

中でも、とりわけ問題となるのは、以下のような事例です。

 

 

■技能実習生が失踪した際などの契約不履行時に不当な違約金(名称はさまざまです)を定める契約内容

■技能実習生から保証金や違約金などを徴収する

■送出機関と監理団体との間で、いわゆるキックバックにあたる不当な利益を得るための契約を締結している            など

 

 

これらについては、機構からも繰り返し注意喚起が出されていますので、くれぐれもご留意ください(参照:令和元年10月31日付け「送出機関との不適正な関係について(再度の注意喚起)」等)

 

【POINT!】
このような事例は、実務上あとを絶ちません。
「あれ?おかしいな。」「これってどうなんだろう?」と思われたら、専門家に相談されることをおすすめします。海外の送出機関と契約を交わす際には、相手任せにせずに万全の体制で行ってください。また、監理団体は、技能実習計画に反する「技能実習計画と反する内容の取決め」を技能実習生との間で行うことは許されません。
 ex.技能実習生の講習手当について、技能実習計画認定申請時の内容より少ない額の手当を支払う旨の別の合意を行う。                               

 

 

(4) 入国後講習の実施など

監理団体は、第1号技能実習において、技能実習生に対して「入国後講習」を行わなくてはなりません。

 

また、入国後講習は座学で行いますので、施設内においては、机と椅子が整えられた学習に適した施設が必要です。

 

 なお、講習を実施する際には、新型コロナウイルス感染症対策に留意した座席の配置等も求められます。

 

 入国後講習を実施後は、監理団体は、「入国後講習実施記録」 を作成し事業所に備え付けておかなければなりません。

 

【POINT!】
技能実習生が「入国後講習」に専念できる環境作りを!
入国後講習の期間中は、いかなる事情があっても、技能実習生を実習実施者の都合で業務に従事させてはいけません。 そのようなことがないように監理団体においては十分に監理することが必要です。特に、講習時間前後の早朝や夜間に技能実習生が業務に従事することがないよう留意してください。

 

 

(5) 技能実習計画の作成指導など

「技能実習計画書」を作成し、外国人技能実習機構(OTIT)へ申請し「認定」を得なければ、次のステップとなる在留資格の申請に進むことができません。

 

実習実施者が「技能実習計画書」を作成する際は、監理団体は、法令に則り適切かつ効果的に実習が実施できるかどうかという観点から指導を行わなければなりません(技能実習法第8条第4項)。

 

 

■技能実習を実施する事業所と技能実習生の宿泊施設に赴き確認する。

■適切かつ効果的に技能等の修得等ができる環境かどうか確認する。

■認定基準及び出入国又は関係法令に適合しているか確認する。

■技能実習生に従事させようとする作業が、技能実習を行わせる事業所において通常行われ

  ている内容であるか確認する。

 

 

【POINT!】
技能実習生に修得等をさせようとする技能等の指導については、監理団体の役職員の中から
一定の経験や知識がある者が行うことが必要です。

 

 

(6) 技能実習生のサポートなど

海外から入国する技能実習生は、慣れない日本での文化・風習の違いなど生活環境が大きく変化します。

昨今、問題となっている人権侵害にあたる行為を受けている可能性があるかもしれません。

そのような環境で実習を行い心身ともに疲弊してしまうことは珍しいことではありません。

このような時に、直接関わりのある実習実施者にはなかなか相談しづらいものです。

例えば、労働や金銭問題、セクハラ、パワハラ、職場の人間関係などさまざまな問題が出てきます。

監理団体は、このような時に備えて、技能実習生の相談に乗ることができる体制(技能実習生の国又は地域に対応できる母国語で相談できる環境)を整えておかなければなりません。

技能実習生からの相談に対応した場合は、 団体監理型技能実習生からの「相談対応記録書」を作成し、事業所に備え付けておく必要があります。

また、技能実習生は、定められた期間満了時には、必ず帰国しなければならず、その際の実習生と実習実施者間のスケジュール調整や航空券の手配なども行います(帰国の際にかかる費用は監理団体又は実習実施者の負担となります)。

一時帰国や急な帰国が発生した場合にも監理団体でサポートを行わなければなりません。

 

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【技能実習】帰国費用は監理団体が持たなければいけないのか弁護士が解説

 

 

5 監理団体が気をつけるべきこと

 

技能実習制度において、監理団体の行う事業は、日本の高度な知識や技術を実習生が修得し母国の発展に寄与することをサポートする国際貢献事業です。

 

監理団体は、技能実習制度を正しく理解し健全な運営をしていかなければなりません。

 

日本では、パワハラやセクハラ、マタハラ、残業代未払い、不当解雇など職場環境においてのトラブルについて問題を抱えている企業が少なくなく、特に外国人技能実習生の場合、人権問題として大きなトラブルに発展するおそれがあります。

 

もし、このような問題が監理している実習実施者で起きれば、最悪の場合、監理団体としての許可が取り消されるおそれがあるといわざるを得ません。

 

しかしながら、外国人技能実習に関する関係法令は多岐に及びますので、なかなかすべてを把握することはできません。監理団体の日常業務は、各種手続きを含めた煩雑な作業やトラブル対応などが多く、担当者も手一杯な状況となり負担になっているケースが散見されます。

 

「なんとかしたいけれど、何から手をつければ良いかわからない。」

 

監理団体の皆様におかれましては、法律の専門家とパートナーシップを築き契約関係をはじめ外国人技能実習生特有の労働問題など、いつでも相談できる環境を整備し、監理団体の皆様が本来注力すべき業務に専念できる体制つくりをしておくことをおすすめします。

 

 

 

6 制度趣旨に反した方法での勧誘等に関するもの

技能実習 実習実施者 弁護士

 

なお、技能実習制度の趣旨に反して、技能実習を労働力の需給の調整の手段であると誤認させるような方法で、実習実施者の勧誘や監理事業の紹介をすることは禁止されています。例えば、監理団体が、自身のホームページやパンフレットなどで、技能実習生の受入れが人手不足対策になるというような宣伝や広告を出すことは不適切な勧誘や紹介にあたりますのでご留意ください。

 

 

 

7 まとめ

 

・監理団体とは、技能実習生の受け入れ先となる企業のサポートをおこなう非営利団体のこと。

一般監理団体になるためには、特定監理団体の許可取得後優良認定を受けなければならないところ、3号技能実習が可能となるほか、受け入れ枠が倍になるというメリットがある。

監理団体を立ち上げるためには一定の要件を満たさなければならない。

監理団体の役割は、海外と日本の人材育成の橋渡しともいえ、国際的にも貢献度が高い一方で、大きな責任も伴う。

外国人技能実習に関する関係法令は多岐に及びなかなかすべてを把握することは極めて難しい。

監理団体は、専門家とパートナーシップを築きいつでも相談できる環境を整備することがおすすめ。

この記事を書いた「Linolaパートナーズとは」

弁護士
弁護士

片岡 邦弘

Linolaパートナーズ法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属)
外国人労務特化型弁護士/入管法届出済弁護士
1978年東京生まれ、東京在住

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