技能実習生の支払い費用に関する実態調査について【令和4年7月 出入国在留管理庁公表】

  • #その他
2022.08.02

この記事を読むとわかること

☑︎来日前の費用に関すること

     L来日前の支払い費用の総額

     L送出機関に支払った費用

     L仲介者(送出機関以外)に支払った費用

     L仲介者(送出機関以外)に支払った費用

☑︎来日後の給料(来日前に説明を受けたもの)に関すること

☑︎外国人技能実習生に関する悩みの解決策がわかる

外国人労務特化型弁護士が詳しく解説いたします。

 

令和4年7月26日に出入国在留管理庁より「技能実習生の支払い費用に関する実態調査について」が公表されました。 これまで問題となっていた「失踪等」の背景には、技能実習生から不当な費用徴収がされていることが疑われていました。このことを踏まえ、技能実習生の費用負担に関する実態を把握するため、外国人技能実習機構及び地方出入国在留管理局による実地検査等の機会を捉えて、技能実習生に対し直接聴取を行い(※後記「調査の概要等」参照)、その結果を公表しています。

 

本記事では、出入国在留管理庁が公表しているデータを元に解説して参ります。

 

1 来日前の費用に関すること

「技能実習の支払費用に関するヒアリング票」によるアンケート結果は以下のとおりです(引用:出入国在留管理庁「技能実習生の支払い費用に関する実態調査について(結果の概要)」)

 

(1) 来日前の支払い費用の総額

来日前に母国の送出機関又は仲介者(送出機関以外)に支払った費用の総額の平均値は、54 万2,311円です。また、国籍別の状況は下表のとおりです。

 

(2) 送出機関に支払った費用

来日前に母国の送出機関に何らかの費用を支払っている技能実習生は約85%に及び、支払費用の平均値は、52 万1,065円でした。また、国籍別の状況及び主な内訳別の平均支払額は下表のとおりです。

 

 

 

(3) 仲介者(送出機関以外)に支払った費用

来日前に母国の仲介者(送出機関以外)に何らかの費用を支払っている技能実習生は約11%でした。また、支払費用の平均値は、33万5,378円という結果が出ています。

 

 

(4) 来日するための借金

来日前に母国で借金をしている技能実習生は約55%に及び、その平均値は、54万7,788 円でした。また、 国籍別の状況は下表のとおりです。

 

 

2 来日後の給料(来日前に説明を受けたもの)に関すること

 来日前に説明を受けた給料の平均値は、14万9,146円という結果が出ています。また、実際に受け取った給料について、「期待どおり」又は「期待より多い」と回答した技能実習生が約79%、「期待より少ない」と回答した実習生は約21%です。 そのうち「期待より少ない」の理由は、「期待したよりも残業や休日出勤が少ない」との回答が約63%「日本での給料の支払方法(税金や保険などが差し引かれること)を知らなかった」との回答が約33%という結果となりました。

 

この結果からは、技能実習生と企業との間に認識の齟齬がうかがわれます。雇用契約を結ぶ際には、お互いにしっかりと法令に則った労働条件の確認をしておかなければなりません。

 

 

3 外国人技能実習生に関するお悩み解決をサポートします

出入国在留管理庁が公表したデータからは、技能実習生の金銭問題に関してさまざまな問題が浮き彫りとなりました。報道などで取り上げられている技能実習生を取りまく問題は氷山の一角であり、現実問題として金銭問題以外のトラブルが深刻化することも珍しいことではありません。

 

このような問題を解決する方法は、企業全体でコンプライアンス意識を高め正しい知識を備えることはもちろんのこと、外国人労務に精通した専門家(例.弁護士)に継続的な助言や指導を受けられる体制を構築されることをおすすめいたします。

 

Linolaパートナーズ法律事務所は、外国人労務を得意としており、監理団体をはじめとする企業において顧問、各種セミナーを随時実施しています。「何から始めればよいかわからない。」など、お困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

※調査の概要等

■技能実習生約2,000人に対し多言語に翻訳した調査票による。

実施期間  令和3年12月10日〜同4年4月末まで。

■聴取事項  ①来日前に早出期間に支払った費用。 

        ②実習実施者や監理団体に支払った費用。

 

【内訳】※回答数、回答者の属性(有効回答数2,184名)

ベトナム 中国 インドネシア フィリピン ミャンマー カンボジア
国籍別(人) 930 416 324 281 125 108

 

団体監理型1号 団体監理型2号 団体監理型3号
段階別(人) 57 1,691 436

 

農業関係 漁業関係 建設関係 食品製造関係
職種別(人) 257 16 334 413
繊維・衣服関係 機械・金属関係 その他移行対象職種 非移行対象職種
185 313 638 28

 

参照:出入国在留管理庁「技能実習生の支払い費用に関する実態調査の結果について」

           「技能実習の支払費用に関するヒアリング票」

本記事のデータに関する詳細は、上記リンクをご確認ください。

 

 

4 サマリー

本記事では、「​​技能実習生の支払い費用に関する実態調査について(令和4年7月  出入国在留管理庁)」について概要を見てきました。健全な企業運営のためには、正しい知識と体制の構築が不可欠です。お困りのことがありましたら、外国人労務を得意とするLinolaパートナーズ法律事務所までお気軽にご相談ください。

 

 

5 まとめ

・来日前に母国の送出機関又は仲介者(送出機関以外)に支払った費用の総額の平均値は、54 万2,311円。

・来日前に母国の送出機関に何らかの費用を支払っている技能実習生は約85%に及び、支払費用の平均値は、52 万1,065円。

・来日前に母国の仲介者(送出機関以外)に何らかの費用を支払っている技能実習生は約11%であり、支払費用の平均値は、33万5,378円。

・来日前に母国で借金をしている技能実習生は約55%に及び、その平均値は、54万7,788 円。

・来日前に説明を受けた給料の平均値は、14万9,146円。

・「期待したよりも残業や休日出勤が少ない」との回答は約63%にのぼる。

・「日本での給料の支払方法(税金や保険などが差し引かれること)を知らなかった」との回答は約33%にのぼる。

 

この記事を書いた「Linolaパートナーズとは」

弁護士
弁護士

片岡 邦弘

Linolaパートナーズ法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属)
外国人労務特化型弁護士/入管法届出済弁護士
1978年東京生まれ、東京在住

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