外国人技能実習機構による実地検査とは?外国人労務特化型弁護士が詳しく解説!
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\この記事を読むとわかること/
☑︎外国人技能実習機構の行う実地検査の内容がわかる ☑︎外国人技能実習機構の行う実地検査に対応するために何をしておかなければならないか基本がわかる ☑︎監理団体が適正な監査を行わなかった場合どのようなペナルティを受けるのかがわかる |
監理団体と仕事をしていると、よく聞かれることの一つが、外国人技能実習機構の行う実地検査に関することです。近年、監理団体への実地検査は大変厳しいものとなっており、実地検査の結果、是正勧告を受けたにもかかわらず、改善を実施しなかったり、改善が不十分であったりしたことによって、行政処分を受ける監理団体が増えているといえます。
そこで、今回は、外国人技能実習機構の行う実地検査について『外国人労務特化型弁護士』が解説していきたいと思います。是非、ご参考になさってください。
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1 外国人技能実習機構の行う実地検査とは?
⑴ 実地検査とは
外国人技能実習機構(以下「機構」という)の職員は、主務大臣からの委任を受けて、監理団体や実習実施者に対して実地検査を行うことが技能実習法に定められています(技能実習法第14条)。監理団体及び実習実施者に対し、技能実習が法令等に則って実施されているか、訪問により検査を行うものです。
実地検査において、認定計画に従って技能実習が適正に行われているか確認するため、実習実施者に報告を求め、必要な帳簿書類等を確認します。機構の実地検査に際して、虚偽の報告や虚偽の必要書類の提出等をした場合には、認定計画の認定が取消される場合がありますし、監理団体の場合、監理団体の許可が取り消されるおそれもあります。
技能実習法違反の場合や出入国・労働関係法令違反が疑われる場合などには、改善勧告・改善指導が行われることになります。具体的には、機構は、改善勧告・改善指導に対して書面で改善報告を求めるほか、再度訪問して実地に改善状況を確認する場合があります。
実地検査において発覚した法令違反が重大な場合はもちろん、改善が不十分な場合には再度改善勧告を受けたり、最悪の場合行政処分を課されるおそれがあります。
ちなみに、仮にその時点では行政処分を課されなかったとしても、改善が不十分であったことが重なると行政処分を課されたり、責めに帰すべき失踪があると認定されてしまうと、優良認定において大幅な減点として扱われ、職権での特定監理事業への許可の変更の対象となってしまうおそれがあります(※この場合、公示されます)。
⑵ 実地検査の種類
実地検査の種類としては、以下の2種類があります。
① 定期検査
原則、監理団体に1年に1度、実習実施者に3年に1度実施する実地検査です。
☑ 技能実習生の実習状況や帳簿書類等の確認
☑ 技能実習責任者や監理責任者、技能実習生本人等からヒアリング |
等を行い、認定計画に従って技能実習が適正に行われているか確認するため、実習実施者に報告を求め、必要な帳簿書類等を確認します。
② 臨時検査
技能実習生からの申告や各種情報に基づき技能実習法違反が疑われるものについて、随時、実施するものです。
2 外国人技能実習機構の実地検査から行政処分までの流れについて
実地検査や臨時監査により法令違反が発覚した場合、まずは改善勧告・改善指導が行われ、未改善の場合や、改善していたとしても、重大・悪質な法令違反、同種の違反を繰り返す場合等の場合は主務大臣等による行政処分等が為されることがあります。
なお、外国人技能実習機構の行う実地検査から行政処分等までの流れは下図の通りです。
【外国人技能実習機構が行う実地検査の概要】
※特に悪質な法令違反の場合(罰則 あり)には刑事告発
出典:厚生労働省「令和4年4月25日時点 外国人技能実習制度について」
監理団体としては、実地検査に突然機構が来ても大丈夫なよう、関係法令で定められた帳簿類や随時必要な手続きを行なっていくことが必要です。
▶︎▶︎▶︎参考:【厚生労働省】「監理団体による監査のためのチェックリスト」 |
3 主務大臣による行政処分等とは
技能実習法によれば、主務大臣等による不正行為に対する罰則は以下のとおりです。
対象 | 罰則 | 事由 |
実習実施者 | 改善命令
(法15条1項) |
出入国・労働関係法令(技能実習法を含む)違反があれば、期間を定めて改善命令 |
実習認定の取消し
(法16条1項) |
重大な許可・認定基準違反、法令違反等があれば取消し | |
※事業者名簿を公表
(法16条2項) |
改善命令に違反した場合 |
対象 | 罰則 | 事由 |
監理団体 | 改善命令
(法36条1項) |
出入国・労働関係法令(技能実習法を含む)違反があれば、期間を定めて改善命令 |
業務停止命令
(法37条3項) |
許可基準違反や法令違反に対し、期間を定めて業務停止を命令
(同時に改善命令も可) |
|
許可の取消し
(法37条1項) |
重大な許可・認定基準違反、法令違反等があれば取消し | |
※事業者名簿を公表
(法36条2項・37条4項) |
業務停止命令、改善命令に違反した場合 |
実地検査において、不正行為が確認された場合、これらの行政処分がなされるおそれがあります。監理団体としては、最悪の事態に陥る前にしっかりと監査業務を行うことは勿論のこと、適正な監査が行われるような体制を整えられることをおすすめします。
4 万が一不正行為が起きてしまった場合に監理団体・実習実施者がとるべき対処法
技能実習実務を行っているとさまざまなトラブルが起きます。万が一何らかのトラブルが起きてしまった場合は、そのトラブルを放置せず迅速かつ的確に対処する必要がありますので、技能実習法に精通した弁護士に相談しましょう。
なぜなら、先述のとおり非常に重いペナルティが科されるからです。場合によっては、監理団体にとって回復不能な状況に陥ることも考えられますので、日頃から万全な体制を整えておかなければなりません。
具体的な方法としては、技能実習法に精通した専門家(例 弁護士)に継続的な助言や指導を受けられる体制を構築することをおすすめいたします。
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5 参考
令和4年7月19日現在の情報です。
■【OTIT 外国人技能実習機構】「重要なお知らせ」
■【厚生労働省】外国人技能実習制度について「重要なお知らせ」
■【出入国在留管理庁】「外国人技能実習制度について」
■【厚生労働省】「監理団体による監査のためのチェックリスト」
6 サマリー
今回の記事では、外国人技能実習機構の実地検査について解説しました。おさえておくべきポイントは以下のとおりですので、ご参考になさってください。
■外国人技能実習機構の行う「実地検査」は、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図ることを目的として行われる。
■外国人技能実習機構の実地検査は、定期的・場合によっては臨時的に行われ、虚偽の報告や虚偽の必要書類の提出等をした場合には、認定計画の認定が取消される場合がある。
■監理団体が日頃から備えておかなければならない帳簿類は多岐に渡り、関係法令を遵守することはもちろんのこと、随時必要な手続きを行わなければならない。
■監理団体は、万が一に備え、技能実習法に精通した専門家(例:弁護士)に継続的な助言や指導を受けられる体制を構築することがおすすめ。
\あわせて読みたい/ 『なぜ「外国人労務」に「特化」したんですか?』~代表弁護士片岡の理念~ |
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