【こんな時どうする?】外国人技能実習機構による実地検査とは?外国人労務特化型弁護士が詳しく解説!

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2023.10.04

 

この記事を読むとわかること

☑︎外国人技能実習機構の行う実地検査の内容がわかる

☑︎外国人技能実習機構の行う実地検査に対応するために何をしておかなければならないか基本がわかる

☑︎管理団体が適正な監査を行わなかった場合どのようなペナルティを受けるのかがわかる

 

先日、建設会社で働くベトナム人の外国人技能実習生が職場で複数の日本人から2年間にわたり暴行などの被害に遭っていたという事実が報道され大きな話題となりました。報道によれば、男性を保護した労働組合が「実習生を守るべき義務を果たしていない」として、会社と会社を監査する立場の監理団体に対し謝罪や慰謝料を求めていたものです。

この件に関しては、出入国在留管理庁、厚生労働省及び外国人技能実習機構が令和4年1月24日付けで「技能実習生に対する人権侵害行為について(注意喚起)」を公表し、同年2月18日付けで出入国在留管理庁と厚生労働省が実習実施者株式会社シックスクリエイトの技能実習計画の認定を取り消し、そして、5月31日付けで、岡山産業技術協同組合についても監理団体の許可を取り消しました。従前の行政処分に比して極めてスピーディーな処分がなされているということが言えると思います。

本来であれば、日本側の窓口にあたる監理団体は、仲介した企業において適切に実習が行われているかどうかを定期的に調査・確認し、法務省と厚生労働省が所管する外国人技能実習機構に報告する義務があります。今回のような事件は、監理団体として全く機能しておらずさまざまな問題が浮き彫りとなりました。

言い換えれば、適正な監査が機能していれば、今回のような痛ましい事件を防ぐことができた可能性が高かったといえると思われます。

 

 

そこで、今回は、外国人技能実習機構の行う定期的な実地検査について『外国人労務特化型弁護士』が解説していきたいと思います。是非、ご参考になさってください。

 

 

目次

  1. 外国人技能実習機構の行う実地検査とは?
  2. 外国人技能実習機構の実地検査について
  3. 監理団体が適正な監査を行わなかった場合のペナルティとは
  4. 万が一不正行為が起きてしまった場合に監理団体がとるべき対処法
  5. サマリー
  6. 関係法令

 

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1 外国人技能実習機構の行う実地検査とは?

 

外国人技能実習機構の行う実地検査とは、どのようなものなのでしょうか?

外国人技能実習機構の所掌事務より紐解いていきましょう。

 

【外国人技能実習機構の所掌事務】

① 技能実習計画の認定

② 監理団体の許可に関する調査

③ 実習実施者の届出の受理

④ 実習実施者・監理団体に対する報告、徴収、実地検査等

 ■監理団体(約2,000団体)への実地検査を年1回実施

 ■実習実施者(約40,000社)への実地検査を実施(3年間で全数を網羅)

⑤ 技能実習に関する各種報告(監理団体からの調査報告、技能実習実施困難時の報   告、実習実施者からの実施状況等)の受理

⑥ 技能実習生の相談対応、援助、保護

⑦ 技能実習に関する調査・研究

 

外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図ることを目的として、技能実習計画の認定及び監理団体の許可制度が設けられています。

 

監理団体が適正な監査を行っていなければ、許認可取り消しなどの処分がなされます。

 

外国人技能実習機構の行う定期的な実地検査を適正にクリアすることが大変重要ですので、日頃から万全な対策を整えておきましょう。

 

 

 

2 外国人技能実習機構の実地検査について

 

技能実習 弁護士 レジデンストラック

 

 

外国人技能実習機構の行う実地検査の概要は以下の通りです。

 

外国人技能実習機構が行う実地検査の概要

■機構の職員は、主務大臣からの委任を受けて、実習実施者に対して実地検査を行うこと が技能実習法に定められています(技能実習法第14条)。

■実地検査には、関係者から相談、申告、情報提供があった場合等に直ちに行う臨時検査、原則、監理団体に1年に1度、実習実施者に3年に1度実施する定期検査があります。

■実地検査において、認定計画に従って技能実習が適正に行われているか確認するため、実習実施者に報告を求め、必要な帳簿書類等を確認します。 技能実習法違反の場合や出入国・労働関係法令違反が疑われる場合などには、改善勧告・改善指導を行います

■改善勧告・改善指導に対して書面で改善報告を求めるほか、再度訪問して実地に改善状況を確認する場合があります。

■実習実施者は、機構の実地検査に際して、虚偽の報告や虚偽の必要書類の提出等をした場合には、認定計画の認定が取消される場合がありますのでご注意下さい。

引用:OTIT外国人技能実習機構「2 外国人技能実習機構が行う実地検査

 

監理団体が日頃から備えておかなければならない帳簿類は多岐に渡り、関係法令を遵守することはもちろんのこと、随時必要な手続きを行わなければなりません。

 

▶︎▶︎▶︎参考:【厚生労働省】「監理団体による監査のためのチェックリスト」

 

 

 

3 適正な監査を行わなかった場合のペナルティとは

 

技能実習法によれば、主務大臣等による不正行為に対する罰則は以下のとおりです。

 

罰則 事由
許可・認定の取消し(法16条1項、37条1項) 重大な許可・認定基準違反、法令違反等があれば取消し
業務停止命令(法37条3項、監理団体のみ) 許可基準違反や法令違反に対し、期間を定めて業務停止を命令(同時に改善命令も可)
改善命令(法15条1項、36条1項) 出入国・労働関係法令(技能実習法を含む)違反があれば、期間を定めて改善命令
※事業者名簿を公表 業務停止命令、改善命令に違反した場合

 

旧制度に比べ非常に厳しい罰則が設けられていることがおわかりいただけるのではないでしょうか。

 

先にも触れましたが、技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律は、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図ることを目的として、平成29年11月1日に施行されました。

 

また、新制度においては、“技能実習に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、技能実習計画の認定及び監理団体の許可制度を設け、これらに関する事務を行う外国人技能実習機構を設ける等の所用の措置を講ずる。”とあります。

 

これらの措置が講じられたことにより、検査権限を持つ機構に相談・申告ができる窓口が設置され、定期的な実地検査も行われることとなり、不正行為発覚の糸口となる(端諸)機会の創出もなされました。不正行為は、当然許されるべきものではありません。

 

これらの制度により、不正行為に対する罰則もより厳しいものとなっていますので、最悪の事態に陥る前にしっかりと監査業務を行うことは勿論のこと、適正な監査が行われるような体制を整えられることをおすすめします。

 

 

 

4 万が一不正行為が起きてしまった場合に監理団体がとるべき対処法

 

 

冒頭で触れたような事件だけではなく、監理団体業務を行っているとさまざまなトラブルが起きます。

万が一何らかのトラブルが起きてしまった場合は、そのトラブルを放置せず迅速かつ的確に対処する必要がありますので、技能実習法に精通した弁護士に相談しましょう。

 

なぜなら、先述のとおり非常に重いペナルティが科されるからです。場合によっては、監理団体にとって回復不能な状況に陥ることも考えられますので、日頃から万全な体制を整えておかなければなりません。

 

具体的な方法としては、技能実習法に精通した専門家(ex.弁護士)に継続的な助言や指導を受けられる体制を構築することをおすすめいたします。

 

しかしながら、ひとくちに弁護士といっても技能実習法や外国人労務に詳しい弁護士は一握りであるのが実情ですので、「弁護士に相談したけれど結局何も解決しなかった・・。」などと後悔する前に専門性の高い弁護士にご相談されることをおすすめします。

 

Linolaパートナーズ法律事務所は、外国人労務特化型弁護士が在籍していますので、お悩みを抱えていらっしゃる方は、お気軽にご相談ください。

 

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☎︎03-6280-8751

 

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『なぜ「外国人労務」に「特化」したんですか?』~代表弁護士片岡の理念~

 

 

5 参考

令和3年1月21日現在の情報です。

 

■【OTIT 外国人技能実習機構】「重要なお知らせ」より令和4年1月 19 日のまん延防止等重点措置を踏まえた監理団体・実習実施者の皆様へのお願い (区域の変更)

■【厚生労働省】外国人技能実習制度について

■【出入国在留管理庁】「外国人技能実習制度について」

■【厚生労働省】「監理団体による監査のためのチェックリスト」

 

 

6 サマリー

 

 

今回の記事では、外国人技能実習機構の実地検査について解説しました。おさえておくべきポイントは以下のとおりですので、ご参考になさってください。

 

■外国人技能実習機構の行う「実地検査」は、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図ることを目的として行われる。

■外国人技能実習機構の実地検査は、定期的・場合によっては臨時的に行われ、虚偽の報告や虚偽の必要書類の提出等をした場合には、認定計画の認定が取消される場合がある。

■監理団体が日頃から備えておかなければならない帳簿類は多岐に渡り、関係法令を遵守することはもちろんのこと、随時必要な手続きを行わなければならない。

■監理団体は、万が一に備え、技能実習法に精通した専門家(ex.弁護士)に継続的な助言や指導を受けられる体制を構築することがおすすめ。

 

この記事を書いた「Linolaパートナーズとは」

弁護士
弁護士

片岡 邦弘

Linolaパートナーズ法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属)
外国人労務特化型弁護士/入管法届出済弁護士
1978年東京生まれ、東京在住

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